同じミスを繰りかえす部下への指導のポイント

人は誰でもミスをします。でも、同じミスを繰り返してしまう部下がいたとしたら、安心して仕事を任せることができません。

同じようなミスを繰り返してしまうことは、部下にとっても、「この仕事向いていないのかも・・・」「何をやっても自分はダメなんだ」とやる気や自信を失わせ、最悪離職につながってしまいます。

今回は、部下に同じミスを繰り返させないための指導のポイントをまとめてみます。

同じミスを繰り返す原因

①自覚が足りない

二度と同じ失敗は繰り返さないという、本人の自覚が足りないことが考えられます。失敗することでどう言う事が起こりうるのか、という認識が甘いケースもあるでしょう。

②正しい仕事が何かが分からない

指示が正確に伝わっていなかったり、上司の期待するレベルと部下の考えるレベルに相違がある場合が考えられます。

例えば、上司が「重要な電話は報告しなさい」という指示に対して、「重要な電話とは何か?」が分からなければ、もしくは、上司の考える重要な電話とに相違があれば、上司が期待する報告は得られず、結果として「また重要な電話を報告しなかったじゃないの!」となってしまいます。

③上司や周囲に聞きにくい

仕事に取り組む際に、分からないことがあった時、上司や周囲に聞きにくく、あいまいなまま仕事をして、ミスに発展するというケースが考えられます。

④焦って仕事をしている

納期に間に合わせようと、焦って仕事をしていたり、限られた時間の中で、多くのことをやろうとしすぎてしまい、確認不足になることが考えられます。

⑤委縮してしいる

ミスをしないように、怒られないように、と気にしすぎ、かえって委縮をしてしまい、ミスにつながっていることが考えられます。

部下に同じミスを繰り返さないための指導ポイント

では、同じミスを繰り返す部下に対して、どのように指導すればよいのか、考えてみます。

1つでも、2つでもいいので有効だと思うものを、試してみてはいかがでしょうか?

仕事の指示をする時のポイント

部下の口から復唱させ指示を理解しているか確認する

コミュニケーションはキャッチボールと言われるように、ボールを投げ、相手からの返球があって、はじめてキャッチボールが成りたちます。

上司からの仕事の指示も同じです。通常、指示は上司からの一方通行で行う場合が多いかもしれませんが、ミスが許されない仕事や、ミスを繰り返す場合、上司が指示をしたことを部下が理解しているかどうか、本人の口から復唱させ確認します。

自らの言葉で話すことで、指示に対する理解が深まります。また、受け取り方の相違の修正もしやすくなります。

仕事の意味、目的を理解しているか確認する

「マネジメントの基礎理論(海老原嗣生 著 守島基博 解説/プレジデント社)」の「指示出しの基本」という問いの中で、心理学者 大沢武志のマネジメント理論に触れ、以下のように述べています。

部下に指導する時は、2つのW(What/何を)(Way/どうやって)をしっかり教える。

Reason(理由)が分かれば、その延長で言わなくてもやるべきことが分かる、工夫や応用の入り口となる。

仕事は毎回同じようで、様々なイレギュラーなことが起こります。周囲に聞く人がいる場合は良いですが、そうでない場合もあるでしょう。その時に、目的を理解していると目的に沿っているかどうかで考えられるので、間違った方向に進む可能性は低くなります。

質問を受け付ける

仕事の指示をしたら、質問があるかどうかを確認します。

また、部下は指示された仕事をする時になって、不明点に気付く場合もあるでしょう。部下は、忙しそうにしている上司には声をかけずらい場合があります。質問をためらって、あやふやなまま仕事をするとミスにつながるケースがあります。

不明点があったら、いつでも質問するように声をかけ、質問する事に対するためらいを解消しておきましょう。

 

部下がミスをした時

効果的に毅然と叱る

自分も失敗するから・・・。辞められたら困るから・・・。雰囲気が悪くなるから・・・。と、部下がミスや失敗をした時に、うやむやにしていないでしょうか?

これでは、部下の自覚が育ちません。

もしくは、感情的に怒ったり、相手を追い詰めるように理詰めで説教したりしていませんか?

これでは、部下は聞く耳を閉ざしてしまい、上司の言葉は届かないか、委縮してかえってミスを誘ってしまいます。

同じ失敗をしてほしくないとしたら、効果的に毅然と叱りましょう。

効果的な叱り方は、「部下がミスした時こそ指導のチャンス!成長を促す効果的な叱り方」にまとめています。

改善策を本人に考えさせる

部下がミスをして指導をした際、「以後、気を付けます」で終わっているケースが多くあります。「以後、気を付けます」だけでは、人間なかなか行動は改善されません。

「どうすれば、同じミスを防ぐことが出来ると思う?」と質問し、改善策(行動)をまずは本人に考えさせます。

つい「あ~したら」「こ~したら」と口を出したくなりますが、主体性をもった、考える部下を育てるために、自分で考えることが大切です。

検証可能な改善策を提案する

とは言え、本人が考えた改善策が未熟であれば、本人の改善策も尊重したうえで、上司からも改善策を提案します。この時、やったかどうかが第三者から見てもわかる検証可能な改善策であることが重要です。

例えば、パソコンを使っての発注作業において、「入力した画面を二重チェックする」というのはもちろん重要なことですが、本人がきちんと実行したかどうかが分かりにくいです。

発注ミスが続くようであれば、発注一覧表を出力し、伝票と照らし合わせて、チェックマークをつける方が実行したかどうかが検証可能でしょう。

一定期間伴走する

上司の方も忙しいとは思いますが、できれば、行動の改善に向けて、上司も一定期間伴走をしたいものです。

先の例の発注作業であれば、一定期間は、上司が一緒になって伝票と照らし合わせるなどです。一緒に改善に向けて上司の方も努力することで、応援してくれているという姿勢が伝わります。

そして、重要なことは、期間を決めることです。期間を決めていないと、スローガンのようになり、いつの間にか、うやむやになってしまいます。もしくは、いつまでも伴走していることは、部下の依存につながっていきます。

小さな改善策を期間を決めて、確実に実行する。出来たら、次の段階に進む。そうすることで、部下は達成感を感じ、それが自信につながっていくことでしょう。

 

やってはいけない…

部下が同じようなミス、失敗を繰り返さないよう、改善を促すために、以下のことは、残念ながら効果的ではありません。そればかりか、部下との信頼関係が崩れたり、部下が委縮したり、パワハラにつながる行為になりますので、注意が必要です。

①大勢の前で叱る

大勢の前でとがめられると、恐怖から逃れるための「行動の変容」になります。それを見ている周囲も、明日は我が身となり、何かあった時に正直な報告相談は減っていきます。昨今の企業の不正に関するニュースを見ていると、小さなミス、失敗の段階で手を打てていたらと感じることが少なくありません。

②何度も言ったでしょ?自己を正当化する

部下が何度も同じミスを繰り返すと、「何回言ったら分かるの!」とついつい言いたくなります。それは事実かもしれませんが、「私はちゃんと教えた」と自己を正当化しても、残念ながら先には進みません。

③人格否定をする

怒るっているうちに、どんどん感情が高ぶり、言うつもりのない言葉まで発してしまいます。

「だから、お前(あなた)はだめなんだ!」「辞めてしまえ!」「何をやらせてもダメね!」など人格を否定する言葉を使っても、自分の感情の発散でしかなく、部下の行動改善にはつながりにくいです。

④保身を入れる

「困らせないでよ」「上になんて説明するのよ」「俺が上から怒られるんだよ」「俺の出世に響いたら、どうしてくれるんだ」など、上司の保身が入ることがあります。そうなると、中には、「自分を守ることしかできないのか」「そんな指導しかできないのか」と上司をバカにする部下も出るかもしれません。

⑤「正しいこと」を振りかざし、追い詰める

何回もミスを繰り返す部下に対し、「間違っているのだから、正しいことを言わなければいけない」と考え、正しいことを言いたくなります。間違っていることをコンコンと突き付けられると、部下は委縮していきます。

 

・・・とはいえ・・・

上司も人間。

もし、感情的になって、つい上に挙げたようなことをしてしまったら・・・その時は、部下といえど、率直に謝りましょう。

まとめ

以上、同じミスを繰りかえす部下への指導のポイントをまとめてみました。

仕事の指示をする時は、相手が理解しているかを、相手の口から確認することが効果的です。

そして、ミスをした時は、上司として毅然と叱り、同じミスを繰り返さないよう改善策を考えることが大切です。

 

ミスが多い部下の指導は、特に根気がいるかもしれません。

ミスが起こった時に、人格を否定し、相手を責めるのではなく、「行動を改善してもらう」という意図をしっかり意識しておくことです。

ミスや失敗を繰り返すことを克服できた部下は、一回り二回り成長してくれるのではないでしょうか。

 

また、人間ミスをしない人はいません。個人がミスをしないように気を付けることも大切ですが、限界があります。

職場のヒヤリハットを共有する仕組みや、業務量の見直しなど、組織として対応できることが無いかも、考えたいものです。

 

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